不安型のために書かれた本
前回の記事でご紹介した「異性の心を上手に透視する方法」(原書:”Attached”)の中で、著者は、この本は主に不安型の人にために書かれたと言っています。
その理由は、恋愛やパートナーシップにおいて、そのアタッチメント・タイプのために苦しい思いをするのは不安型の人が多いからです。
不安になりやすい傾向のアタッチメント・タイプの人が回避型の人と交際し、かつお互いにその自覚がないままだと、回避型の不可解な言動にふりまわされて傷ついた挙句に別れるという恋愛パターンを繰り返すことになりかねません。
不安型の人には、安定型のパートナーが良いのですが、不安型の人は安定型の人と出会っても「何も感じない(=ドキドキしない)」ために、これは恋ではないと決めつけてしまう傾向があります。そして、ドラマチックではないけれども穏やかで安定したパートナーシップを築くチャンスをみすみす逃してしまうのです。
不安型の人はどうすればいい?
アタッチメント・セミナーをしていたときも、やはり参加者の中で一番多いのは不安型のタイプでした。これまでの回避型の人との恋愛でほとほと疲れてしまい、かといって安定型の人は好きになれない・・・というご相談をよくお受けします。
不安型の人はまた、親密さを求める気持ちが強いあまり、少しでも「いいな」と思う相手のことを、深く知らないままに好きになりすぎてしまう、という傾向があります。
「異性の心を上手に透視する方法」の著者は、不安型の人にこうアドバイスしています。
・これで最後のチャンスかもしれない、と思うのをやめる。「この人がダメでもまだ候補はたくさんいる」というマインドセットにシフトする。
デーティングという文化のあるアメリカのほうがこれはやりやすいかもしれませんが、要は相手についてある程度深く知るまでは、一人に絞らないということです。何人かと同時進行でデートするなり、あるいはデートするのはひとりでも、すべての予定を相手との時間に使うのでなく、きちんと趣味や自己研鑽の時間を作り、はまりすぎないようにするのです。
そして、相手が信頼に足る相手であるかという証拠を十分に集めます。こうするためにはそれなりの時間を一緒に過ごす必要があります。またいつもふたりだけで会うのではなく、相手の友達や同僚など、親しい人間関係に入って行けるくらいの関係性になることで、相手についての本質を見極めることができます。
”Slow Burn Love”
恋愛のスタイルとして、一目ぼれなど「出会った瞬間から惹かれ合い恋に落ちる」というタイプのものと、そうではなく友情から始まるタイプがあります。
後者のタイプを英語では “Slow Burn Love”などというのですが、不安型にはまさしくこちらがお薦めです。
日本のテレビドラマは10話完結などが多いためにこのタイプの恋愛の形はあまり見られませんが、アメリカのドラマでは何シーズンも続いた後にやっとふたりが恋に落ちるようなストーリーがあります。友達として十分な時間を過ごした後に、なにかきっかけがあって異性として意識しはじめる・・・という筋立てが一般的です。
こちらの英文記事には、このふたつのタイプの恋愛スタイルを比較してメリット・デメリットが挙げられています。
突然に恋に落ちるタイプはこの記事では Lightning-Bolt Loveと名付けられていますが、このデメリットは
・恋に落ちるのも早ければ、熱が冷めるのも早い
・恋愛の最初がドラマチックなので、感情的なアップダウンの激しい関係性になりがち(そしてそれを情熱と勘違いしてしまいやすい)
というものがあり、これは不安型のタイプの人には向いていない恋愛の形と言えます。
でも、何よりNGだと思うのは
・恋愛初期のドキドキする気持ちがあまりに強いために、自分が”Deal-Breaker”(これは絶対に受け入れられない)と思うことを見過ごしてしまうことがある
ということです。
自分が不安型だという自覚がある人で、いままですぐに人を好きになりドラマチックな恋愛をし、ぼろぼろに傷ついて別れることが多かった・・・という人は、次はSlow Burnタイプの恋愛の形について意識してみてください。
「異性の心を上手に透視する方法」は不安型の人へのアドバイスが満載です。未読の方はぜひ!キンドル版もあります。