「2人目」問題で悩むカップル

「子どもは2人」と言っていたのに…

”Dear Therapist:I want a second kid. My husband doesn’t”という記事を読みました。

読者からの悩みにカウンセラーが答えるという趣旨のコラムで、テーマは2人目問題。

相談者は女性で、パートナーとは結婚6年、1歳のお子さんがいます。彼女は2人目が欲しいのですが、パートナーがここにきて「子どもはひとりでよい」と言い出した…という内容です。

結婚するときには、お互いに「2人欲しいね」ということで合意していたので、彼女はそのつもりだった。妊娠・出産もスムーズだったし、子どもが1歳になるまでのこの1年もおおむね楽しみながら子育てをしていたので、このパートナーの発言にショックを受けていました。

「子どもは授かりものだし、今ひとりいることについて、もちろん感謝の気持ちでいっぱいです。でも、それと同時に、この子には兄弟をつくってあげたいという気持ちがあります。兄弟の絆は本当にスペシャルなものだから。このまま2人目をトライしないで終わるのは本当に悲しいことです。

この件で夫婦関係が悪化するのは本意ではないし、もうひとり授かったとしても夫が納得していないのでは意味がない。でも同時に、このままあきらめたら私が納得できません。夫は、子どもがふたりになるとお金がかかると言います。確かにお金はかかりますが、ふたりとも良い仕事に就いて働いているし、ふたりの子どもを養うだけのお金はあると思っています」

カウンセラーの答え

子どもを持つかどうか、何人もつか・・・ということについて、結婚当初から合意があり、結婚後に子どもを持ち始めても、人数やタイミングに至るまで最後までふたりとも全くブレがないというカップルは世間にどのくらいいるのでしょうか?

結婚前からもう意見があわないというケースもたくさんあるでしょう。DRESSの特集で、子どもを持たない選択をしたカップルについて取材記事を書きましたが、結婚前には合意があっても、結婚してからどちらかの気が変わってしまうということもあります。この相談者のケースは、結婚後にひとり子どもができたけれど、その子どもが1歳になるまでの間に夫のほうの気持ちが変わってしまったようです。

これに対するカウンセラーの答えは「自分の立場を主張するだけではなく、お互いの気持ちをよく聴いて」というものでした。

この1年を振り返ってみる

今のお子さんは1歳ということで、この1年を振り返ってみましょう、と書かれています。相談者の女性にとっては、妊娠・出産はそれなりの大変さはありながらも、赤ちゃんが生まれるということの喜びはそれらを帳消しにしてあまりあるものだったようです。またその気持ちを味わいたいと思うくらい、母親であることは性に合っていたようです。

一方、パートナーにとってはどんな1年だったのでしょうか?赤ちゃんの誕生により、生活のあらゆる部分が激変しました。赤ちゃんが生まれる前と比較すると、自分の自由になる時間が極端に少なくなっています。慢性的に寝不足だし、今までのように友達や同僚と飲みに行けないし、パートナーである相談者との関係も変わって来たかもしれません。彼自身のアイデンティティが揺らいでしまうような出来事だったという可能性もあります。子どものことは愛していても、もう1年また同じような変化の年を過ごすことにワクワクできないのも無理はないのかも…

このように、夫と妻それぞれにとって、この1年がどんなものだったのかを客観的にみてみることで、ふたりの視点の違いを浮き彫りにしています。

赤ちゃんが1歳になるまでの1年について、夫婦の間でまるで違った印象をもっているということは容易に想像ができます。このカップルの場合は、赤ちゃんの誕生による変化をより「大変だ」ととらえたのは夫側のほうだったようです。

立場が逆だったらどう思うか?

さらに、カウンセラーは相談者に「もしあなたがパートナーのように感じていたらどうでしょうか」と投げかけます。

大変な思いをしたのが妻のほうだったら?もし「産後うつ」ともとれるような気分の浮き沈みを味わったり、精神的にも身体的にもぎりぎりのところで毎日を過ごしていて、仕事と育児の両立にとても苦しんでいたら?赤ちゃんが夜通し寝るようになってきて、少しずつ生活が楽になるにつれて、「子どもひとりでも十分幸せ」と思い始めていたら?そこにパートナーが「そろそろ2人目について考えない?」と言ってきたとしたら?

あなたはこう言うかもしれません。「妊娠・出産は私にとってとてもハードなことだった。つわりはつらかったし、好きだったことをほとんど辞めなくてはいけなくなった。妊娠の期間とこの1年ですっかり疲れ果ててしまったし…」

そして、パートナーがいつものように理解のある優しい言葉をかけてくれるかと期待したら、その代わりに「そんな心配はない、ふたりとも働いているんだし大丈夫だよ」という、彼自身の主張で説得にかかるような言葉が返って来たとしたら?

子どもがひとりだったら良いお母さんになれる自信があるけれど、もし子どもがふたりになったらとてもできそうにないというのが正直な気持ち。でもパートナーは「6年前に約束したはずだ」という理由で、今になって気持ちが変わっているあなたを責めたり腹を立てたりしていたら…?

お互いの”Inner World”について知る

立場を逆転させるシミュレーションは、なにも彼女に「もうひとり子どもをもつことをあきらめなさい」と言っているわけではありません。

そうではなく、お互いの”inner world”つまり内面で何が起こっているのか?ということについて、もう少しよく知り合いなさい、というメッセージです。

ふたりともが現時点での結論に至るまでには、幼少期からのお互いの家族生活も密接にかかわっている可能性が高いのです。親になったことについてどう思うか?親になって変わったふたりの関係については?

「子どもを持つか、持たないか」と結論を急ぐのではなく、もっと深いレベルでお互いを知りあうために時間をとるべきだ、とカウンセラーは助言しています。

示唆に富むカウンセラーのアドバイスの中で、このようにお互いに相容れない希望を持っているような状況においてとても有意義だと思ったのがこの一文。

Right now, he probably wants to be seen and heard, not talked out of the way he feels.

現時点では、彼はあなたに話を聴いてもらいたがっている(=理解してほしいと思っている)。彼が感じていることを不当だと言われるのではなく。

「そんな風に思うなんて(考えるなんて)ひどい」「約束したのに」「私の気持ちがわからないの?」という態度で話をしようとすれば、パートナーは「自分の気持ちを理解されていない(むしろ否定されている)」と感じてしまい、そうなると生産的な話し合いは望めないでしょう。

子どもを持つかという決断はとても大きいもので、一朝一夕に結論がでるものではありません。最終的にこのカップルがどういう結論を出すのかわかりませんが、時間をとってよりお互いの気持ちに寄り添った話し合いをすることで、夫婦の絆が深まる可能性は高くなると思います。

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