6月12日は”Loving Day”
全米で異なる人種の同士の結婚が認められるようになったのは1967年のことでした。
それより10年ほど前の1958年、バージニア州に住むレンガ職人のリチャード・ラビングは、恋人ミルドレットと結婚するためにワシントンDCに行きました。バージニア州ではまだ異人種間の結婚が認められていなかったからです。
でも、バージニア州に戻ったふたりは州の法律に違反したとの容疑で有罪になり、刑務所に入るか、25年間の州外追放を言い渡され、ふたりはバージニアを離れワシントンDCに移り住みます。
ACLU(米国自由人権協会)
ワシントンDCに移住したことで経済的にも苦境に陥り、また結婚しているのにバージニア州の家族を訪ねる際に一緒に旅行できないことなどを不服として、ミルドレッドは当時の司法長官だったロバート・F・ケネディに手紙を書きます。これがきっかけとなり、米国自由人権協会(ACLU)が間に入りバージニア州の判決は憲法違反として訴訟を起こしました。
訴訟を起こしたのは1964年でしたが、事態は進展せず、集団訴訟、地方裁判所での敗訴などのさらなる紆余曲折があり、最終的にはアメリカ合衆国最高裁判所に上訴します。
最初の訴訟が起こってから3年後の1967年6月12日、バージニア州での有罪判決が覆されました。同時に、多くの州で異人種間の結婚を禁止する法律の元になっていた反異人種間混交規定も、憲法の修正第14条に反するとの決定が下されます。この日を境に、全米で異人種間の結婚が法律で認められました。判決の中の一文がこちらです。
Under our Constitution, the freedom to marry, or not marry, a person of another race resides with the individual and cannot be infringed by the State.
(憲法では、異なる人種の人と結婚する自由(あるいは結婚しない自由)は個人のものであり、州によって決められるものではない)
#LovingDay
ツイッターやFacebookでは#Lovingdayというハッシュタグで、この歴史的な決定が下された日を祝うメッセージが見られました。
多くは国際結婚、あるいは同じアメリカ人でも異なる人種的・文化的背景をもつ人と結婚している人によるものでした。
この決定が下される元になった訴訟の原告夫妻の苗字がLovingだったというのは偶然ですが、#LovingDayは現在のトランプ政権下のアメリカでも非常に重要なメッセージを持っています。
このストーリーは”Loving”という映画にもなり、日本でも公開されました。こちらの公式サイトにも「ラビング夫妻が世界を変えるまで」と題して出来事が時系列にまとめられています。機会があれば家族で観てみようと思います。