外国につながる子どものための写真ワークショップ(ポッドキャスト番組#27)

フォトジャーナリスト・大藪順子さん

アーティストで、NPO法人The Global Familiesの理事もされているルミコ・ハーモニーさんと一緒に配信しているポッドキャスト番組。

第27回は、横浜在住のフォトジャーナリスト・大藪順子さんをお迎えして、“Picture This: 横浜インターナショナルユースフォトプロジェクト” についてお話しいただきました。

これは、外国につながる10代の子どもたちに横浜の風景を写真に撮ってもらい、それを通して表現する力を身に着けてもらうという4か月ほどのプロジェクトです。2016年から毎年秋に行われています。

外国につながる子どもたちは、特に中高生になると居場所を見つけるのに苦労することがあります。他の日本人とは違う「ハーフ」という点でいじめにあう場合もありますし、自分のアイデンティティについて悩む子もたくさんいます。

大藪さんがこのプロジェクトを始めるきっかけになったのは、川崎の中学生が高校生グループに殺害された事件でした。被害者も加害者も外国につながる子どもだった・・・ということから、「他人事じゃない」と感じたそうです。

外国につながる子どもの居場所作り

ワークショップは秋に開催され、隔週で日曜日に写真のワークショップが行われます。例えば大桟橋などの場所にみんなで行って、そこで子どもたちに好きなものを撮らせてみます。

大藪さんは「外国につながる子どもたちに写真撮ってきて、というと、実にいろいろな写真ができてくる」と言います。これが日本人の子どもたちだと「何を撮っていいかわからない」という子が多いのだそうです。

日本人の子どもたちは「こういうものを、こういうふうに撮りなさい」と言われれば上手にやってくるのだそうですが、好きなものを好きなように・・・と言われることに弱い、という大藪さん。これは学校での図工や美術などの授業のあり方に寄るところも大きいのかもしれません。

このプロジェクトは、アマチュアの写真同好会の大人たちに支えられています。子どもたちと写真について対話することを通して、彼らに自分の内なる声を聴いて、写真で表現することを学んでもらうのです。

ワークショップ終了後、それぞれが撮った写真を展示する作品展が行われます。

性暴力サバイバーを支援するプロジェクト

大藪さんは、物書きになりたくてアメリカの大学で最初はジャーナリズムを専攻していました。大学3年生のときに写真を通して自己表現をすることに目覚め、フォトジャーナリストになりました。大学卒業後は地元の新聞社の専属フォトグラファーとして7年間働き、その後フリーになりました。

1999年、大藪さんは自宅で就寝中にレイプの被害にあってしまいます。犯人は捕まり起訴され、懲役20年の判決を受けます。大藪さんはうつ状態になり苦しみますが、1年後に親しい牧師さんからの助言で犯人に手紙を書くことで精神的に解放されました。

2001年に「同じように傷つき、生きていく人たちの姿を伝えたい」と、”STAND:性暴力サバイバーたちの素顔”というプロジェクトを立ち上げ、男女70人をアメリカとカナダで撮影しました。これをきっかけとして、ドキュメンタリー番組に出演したり、全米各地で公演活動をするようになります。

日本でも精力的に性暴力被害をなくすための活動をされている大藪さん。2007年には「STAND:立ち上がる選択」という本も出版されました。

「読んでよかった」という声が多数のこちらの本も、ポッドキャスト番組とあわせてぜひチェックしてみてください。

第27回:多文化共生写真プロジェクトを推進する大藪順子さん

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