Waving Flag

ソマリア出身のアーティスト・K’Naanの歌

先日、長男が所属するシアターグループの夏の公演に行ってきました。

関東地区にある20スタジオが交代で、2時間のショーを創り上げるショーケースのような公演で、長男のチームは3日間で4公演に出演しました。私は迷った末に初回の公演を観覧。

歌やダンスの演目がどれもとても素晴らしく、小学生とは思えないクオリティに、この公演のために夏休み中かけてきた時間やエネルギーが感じられました。

そしてフィナーレで全員で歌っていた曲が “Waving Flag”

ソマリア出身のカナダ人アーティストK’Naanの歌で、オリジナルは2009年に発表され、その後、サッカーのワールドカップの主題歌や、コカ・コーラのイメージソングなど、形を変えて世に知られていきました。

ハイチ大地震で被災した人を支援するためのチャリティソング・バージョンの冒頭では、K’Naan本人が思いを語っています。

オリジナルの歌

公演後にこの歌について調べてみたところ、2009年に発表されたオリジナルの歌は、ソマリア内戦の戦火を逃れて難民となって生き延びたK’Naanのストーリーだったことを知りました。

どのバージョンでもサビのこの箇所は同じです。

”when i get older, i will be stronger
they’ll call me freedom
just like a wavin’ flag”

こちらのリンクには、K’Naanが13歳のときにソマリアで内戦が勃発し、ある夜に家族と一緒に住んでいた家から銃声や爆弾の音が聞こえてきたというエピソードが書かれています。この今では世界的に有名になったこのフレーズは、有名な詩人でもあった彼のおじいさんがその夜にみんなを落ち着かせようと書き留めたものでした。

オリジナルバージョンの歌詞は、後に世に出たワールドカップやコカ・コーラのバージョンとは大きく違います(チャリティバージョンは、オリジナルにかなり近い感じです)。

歌詞をじっくり読んで理解したあとに聞いてみると、ただ耳に心地よい音楽というだけでなく、苦しい状況をなんとか生き延びてきた人の魂の叫びともとれるパワーが伝わってきます。

心に響くメロディと歌詞

こちらの記事には、この歌が時代とともに変わっていった過程や、その背景について詳しく書かれていて、とても参考になりました。

ソマリアでは、誰かが歌を歌うと、それを聞いたほかの誰かが自分なりのアレンジを加えてまた “sing back”つまり歌い返す、という文化があるそうです。

一度、自分の中から出た歌はもう自分だけのものではなく、それはコミュニティのもの。その背景もあって、K’Naanは自分の歌がさまざまな機会にアレンジされていることについても抵抗はないという趣旨のことを語っています。ただ、コカ・コーラのバージョンが創られたときには、それに “Celebration Mix”というタイトルをつけることにはこだわったそうです。

K’Naanはこの歌について子ども向けに書いた本も出版しています。

記事の最後はこう結ばれています。

“Quintessentially, “Wavin’ Flag” is a song that makes its listeners feel proud to be human, feel proud to be a part of their country, and feel hopeful for tomorrow. Just like a wavin’ flag”

歌が気に入った人は、ぜひいろいろなバージョンを聴き比べてみてください。

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