「異性の心を上手に透視する方法」を出版するまで<前編>

ハワイで見つけた”Attached”

「異性の心を上手に透視する方法」の原書”Attached”に出会ったのは、夫の仕事のために2012年の夏から3か月の短期限定で、家族でハワイに住んでいたときでした。

毎朝、徒歩で子どもたちを小学校に送っていった後、まだ6か月の赤ちゃんだった三男の乗るベビーカーを押しながら家に向かって歩く日々。

この散歩のときにオーディオブックで歩く時間を有効活用することを思い付き、ハワイの図書館からいくつか借りた本のなかのひとつが”Attached”だったのです。

今でもたまにこの本のオーディオブックを聴くと、家から学校までの往復の光景が蘇ります。

感想をブログに書く

本を読み終えてまずしたことは、感想を当時のブログに書くことでした。このブログ記事が翻訳プロジェクトを始めるきっかけになりました。

パートナー選びに役立つアタッチメント・タイプの知識 (2012, 10, 2)

今聴いているオーディオ・ブックは“Attached”というタイトルで、人それぞれもっている愛着(“Attachment”、アタッチメント)のタイプの違いを知ることにより、自分にあった相手を見つけ、長続きするパートナーシップを築くためにはどうしたらいいかということをテーマにした本です。パートナーシップがうまく機能しているカップルというのは、お互いに相手のニーズを適切なタイミングで満たしあうことができるものですが、この本で紹介されているコンセプトを知ることで、お互いを学ぶプロセスにかかる時間やエネルギーを劇的に短縮できる可能性があると感じました。またそれだけでなく、今まで「意中の人と交際には至るのだけれど、時間が経つとどれもうまくいかなかくなってしまう」と悩んできた人には是非お勧めしたい本です。

この本ではまず、個人がそれぞれ持っているアタッチメントのタイプ “Secure”(安定型), “Anxious”(不安型),  “Avoidant” (回避型)が解説されています。まず自分のタイプを知り、そして出会う相手がどれにあたるのかを観察することで、カップルになった場合に良い関係が保てる相手かどうかを推し量ることができます。相手のタイプを知る方法はいくつかありますが、例えば「理想の関係」について訪ねたり、あるいは過去の交際暦を聞いてみたときに、どのような返事が返ってくるかということからもヒントを得ることができます。

例えば「安定型」の人は、自分自身を良く知っており、自己肯定感も高いため、自分が「いつかパートナーを見つけられるだろう」と根底では信じているため、「相手が見つかるだろうか」と極度に不安になったり、「この人を逃したら次がないんじゃないか」とはあまり考えません。恋愛の駆け引きにもそれほど興味がないため、愛情表現はストレート。また英語でよく、パートナーに求められる資質として“emotionally available”と表現されるものがありますが、安定型はこうと決めた相手と親密になることを恐れないため、例えばカップルの片方が不安になったりしても、ためらいなく「大丈夫だよ」と表現したり、その気持ちを伝えたりすることができるタイプです。「不安型」は、例えば交際相手とほんの少しの間連絡が取れなかったりすると、すぐに相手の気持ちを疑ったり不安になってしまうタイプ。「回避型」はその名のとおり、交際を始めて少し時間が経つと、自分の自由がなくなることを恐れて親密さを回避したくなってしまうタイプです。

この本は主に「不安型」の人のために書かれたそうですが、「不安型」の人が選ぶべきはやはり「安定型」の人とのこと(二人ともが「不安型」の場合、お互いのニーズが理解できてその点ではいいのでしょうが、「相手がいなくては生きていけない」という共依存になる可能性もあります)。しかし、どういうわけか「不安型」は「回避型」を選んでしまう傾向があるのだそうです。その理由として、著者は「安定型」の人は、恋愛市場に長くは留まらないのだ・・・と説明しています。他のタイプに比べて「安定型」タイプの人は交際してきた人数もやや限定される傾向にあるのは、このタイプの人はこれだと思う人を見つけたらコミットし、その人と長く続くパートナーシップを築くため、それっきり恋愛市場には滅多に戻ってこないことが多いから。一方、「回避型」の人はちょっと交際相手と親しくなると、すぐにその関係から脱する方向に動いてしまい、関係を終わらせて再び恋愛市場に戻ってくるまでのサイクルが短いため、恋愛市場にいる人々全体の中での「回避型」の割合が高いこともその一因だそうです。

また、もうひとつの理由として、「不安型」のタイプの人は、第一印象では「安定型」タイプを「退屈だ」と感じてしまうらしいこと。これは、不安型がもっている「恋愛とは?」というイメージによるもので、要は「あの人は私を好きなのかしら」と思い悩むことこそが「自分が相手に好意を持っている証拠だ」と思い込んでいるので、そういう心情のゆれを起こさせない「安定型」タイプの人を、魅力的ではないと感じる(あるいは思い込む)傾向があるのだそうです。この「不安になったり思い悩む」のは、実は愛情でなく著者の言うところの「愛着システムが起動している」という心理状態によるものなのですが、そうとは知らない本人は、ドキドキ感がない人=自分のタイプではない人と判断してしまうのです。その結果、結婚したら末永く大切にしてくれるであろう人を逃してしまっている「不安型」の人が大勢いる・・・と著者は指摘しています。

恋愛したい相手と結婚したい相手のタイプは違う・・・ということを聞きますが、交際の末に「結婚」という形をとりたいのであれば、時間を無駄にしないためにも、自分のアタッチメントのタイプをまず知り、そして相手のタイプを早い段階で見抜くことは必須かもしれません。この本は日本語訳は出ていないようですが、英語の文章はそれほど難しくないので、国際恋愛・国際結婚を目指している方は是非チェックしてみて下さい。

3年間の熟成期間

それから3年の間、その本は私にとって「恋愛関係に悩んでいる人にお薦めする本」という位置づけのままでした。

個人やカップルのコーチング・セッションをしているときに、「この英語の本はいいですよ~」と、自分の書いたブログ記事を紹介したりしていました。

そして2014年の秋。それまで12年間住んでいたサンディエゴから一家で日本に移住し、日本で婚活中の方の相談に乗るお仕事を始めたのが変化のきっかけでした。振り返って考えてみると、サンディエゴからハワイに期間限定で移住してすんでいたことも、日本への移住の布石になっていたな・・・と感じます。

後編に続きます。

 

 

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