生き延びるために選んだ戦い方

自尊意識と同調圧力

ネットで話題になっている鴻上尚史さんの人生相談の記事「帰国子女の娘がクラスで浮いた存在に…」を読みました。

6年間を家族でアメリカで過ごし、半年前に帰国した小5のお子さんをもつ母親は、「洋服が大好きでおしゃれを楽しんでいた娘が、クラスのボス的存在の女子から言われたひとことをきっかけにクラスで浮いた存在になってしまった。子どもの希望どおり地味な服を買うべきか、自分らしくあれ、人の言うことは気にするなと言えばいいのか」ということで悩んでいました。

これに対して、鴻上さんは、日本人の自尊意識の低さ、そして同調圧力の強さについて説明していきます。

同調圧力は「みんなが同じであるべき」というプレッシャー。そして、自尊意識は、鴻上さんの言葉では「自分を大切にし、自分をバカだと思わず、自分が生きていていいのかと疑問に思わず、自分の発言に自信がなくて言いたいことが言えないなんてことがない、自分はかけがえのない自分であるという意識」と説明されています。

日本移住のチャレンジ

私たち一家も4年前にアメリカから日本に移住しました。それまでアメリカの学校でしか教育を受けていなかった子どもたちが日本の学校になじめるのかな、という心配がなかったといえば嘘になります。

ただ、そういった新しい価値観や違う生活様式に触れ、その中で葛藤することも、人としてのキャラクターを形成していく要素だという気持ちがありました。

まだ小学校の低学年と保育園というタイミングだったこともあり、特に学校でいじめられたり、友達ができなかったりということはなかったようです。やはり最初の数か月は、日本語の不自由さもありそれぞれに涙を流す場面もあったようですが、長男の、自分について(根拠がなくても)確たる自信をもっているところや、次男の何事も深刻にとらえすぎない性格が結果的によい方向にはたらいたような気もしています。三男はまだ2歳半で日本語はほぼゼロの状態でしたが、外遊び重視の保育園に入れたことは幸いでした。

でも、もしもう少し学年が上のタイミングで移住しており、自己がはっきりと確立されていて、この相談者のお子さんのように周囲から浮いてしまうというような状況だったら・・・と思うと、他人事とは思えずに記事を興味深く読みました。

敵を知り、戦い方を自分で選ぶ

鴻上さんの論理的なアドバイスはとても参考になるので、ぜひ記事の全文をお読みいただくとして、私がとても良いなと思った部分があります。

戦う相手は「日本」なので、正面切って戦っても負ける可能性が高い。その場合、例えば学校には地味な服で行き、プライベートで友達と会うときや、塾などでは好きな服を着る、など、いくつかの提案をしたあとに、こう書いています。

大切なのは、学校に地味な格好をして行く時「負けた」とか「悔しい」とか「本当はこんな格好をしたくない」とかネガティブな思いにならないことです。それは、生き延びるために選んだ戦い方のひとつだと、娘さんと話すのです。

主体的に選択した戦い方だ、という自覚を持つこと。これを英語では“Own”という言葉を使います。

“Own your decision”といえば、自分の選択に責任をもて、ということです。

状況を分析し、敵を知り、最善と思える戦い方でことにあたる。その選択をownすることができれば、その選択の帰結も含めて受け入れ、もし上手くいかないと感じたら、また新たに選択しなおすことができます。

それを繰り返していくと、いずれは自分が納得して戦えるラインと、その結果に対する満足度のバランスを見出すことができます。

その選択を自分の責任において行わずに、「状況が(ルールが、世の中が)こうなのだから仕方ない」「何もできない」「負けたんだ」という気持ちでいると、自分にコントロールできることはなにもない、自分は無力だ、と感じてしまうと、自尊意識も育たないでしょう。

どんな状況であっても、その「起こっていること」に対する自分の反応は選ぶことができる、ということは、折に触れて子どもたちに伝えていきたいなと思います。

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