離婚率の高い国際結婚
わたし、国際結婚します!! でもちょっとその前に知っておきたいお話(第25回)という記事を読みました。
カナダのオンタリオ州在住の野口さんという女性によって運営されているサイトで、主にオンタリオ州での国際結婚について発信されています。
この記事のテーマは「国際結婚と離婚率」。一昔前に比べて、国際結婚は(特に都市部では)あまり珍しいことではなくなりました。でも、日本人同士の結婚より、国際結婚のほうが離婚率が高いということは、あまり一般的には知られていないかもしれません。
国際離婚に至る原因はいろいろありますが、この記事で紹介されていた、ドイツのブロガーが作成したというこちらの表は、それらの原因を「起因する相手」と「原因の種類」のふたつの軸でまとめています。これを見ると、国際結婚に特有の理由は実はそんなにないのは…という気もしてきます。
国際結婚特有の理由は?
例えば「配偶者が抱く日本人への先入観からくる過度な期待」という原因をとってみても、「日本人への先入観」を「女性(男性)に対する先入観」と置き換えれば、パートナーが自分に対して何らかの理由でもつ期待感が原因で仲が悪くなるということは当然考えられます。
経済面で「相手の語学学校の費用」や「帰省費用」などは、日本人同士にはないと思われるかもしれませんが、結婚したときにどちらかが学生というケースもあるでしょうし、お互いの実家が北海道と沖縄だったりしたらやはり帰省にはお金がかかります。
またコミュニケーションについても言及されていますが、日本の嫁・姑問題など、家族づきあいの難しさは、日本人と外国人のカップルでお互いの母国語が違うという以上のものがあることも。
「子どものインターナショナルスクール代」という項目も見られますが、日本人同士でも、例えば公立に行かせるか、私立に行かせるかなど、カップルの間で「教育にどのくらいお金を使うか」という点について意見が分かれた場合には、それが亀裂の原因にもなり得ます。
国際離婚の手続きの煩雑さ
国際離婚の直接の原因となるような理由には、日本人同士の結婚とあまり差がみられないのに対して、その手続きの大変さは日本人同士の場合とは比較にならないかもしれません。
特に「揉めている」離婚の場合、財産や子どもの親権がからむような場合はなおさらです。
国際カップル、結婚も離婚もいばらの道?という記事では、スイスでの国際離婚の手続きの複雑さについて言及されています。
親権についてうまく話がまとまったとしても、例えば養育費の計算では「何を所得とするのか」から始まり、財産がスイス以外にある場合にはどうするのか、子どもの進学先による場合分けなど多くの要素がからみあっています。
そして、忘れてはいけないのが「ハーグ条約」。日本では単独親権のみ認められているために、ひとたび親権が決まってしまえば、親権をもっている親に「次にどこに住むのか」も決定権がありますが、国際離婚の場合はハーグ条約があるため、片方の親が勝手に子どもを出身国に連れ帰ることは違法になります。
相手の国の法律についても知ること
国際結婚について考えている人だけでなく、日本人同士でも子どもを連れて海外に行く可能性がある場合には、ハーグ条約については知っておくべきです。
海外で夫婦関係が破綻して日本に子どもを連れて帰ろうとしても、ハーグ条約を理由にパートナーの合意が得られなければできない・・ということがあるからです。
「パートナーは外国人で、結婚を考えている。不安もあるけど、うまくいかなかったら離婚すればいいだけだから」と考える人がいたら、最低限、両方の国での離婚について、宗教上の制限はないのか、手続きはどうなっているのか、相手の国はハーグ条約に加盟しているか、といった制度上の事実とあわせて、実際に離婚した人の経験もネットで検索してみることをお薦めします。
最近、アメリカ人のパートナーと結婚の話を進めるにあたり、実は以前の配偶者との離婚が成立していなかったことが発覚したというお話を聞きました。もう20年以上もたっていてどちらからも反対のない離婚がなぜかファイナルになっていないことに当人もショックを受けているそうです。
日本ほど離婚の手続きが簡単な国もないと目にしたことがありますが、アメリカでの離婚は国際結婚でなくてもとても大変そうです。「双方に合意さえあれば簡単に離婚できる」のは日本くらいだと思っておいたほうが良いかもしれません。